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個人事業主は登記なしで大丈夫?必要性・違い・手続きまで徹底解説

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個人事業主として活動を始める際、「登記はしなくても大丈夫なの?」「開業届とは何が違うの?」と疑問に感じる人は少なくありません。とくにフリーランスの場合、屋号をどう扱うべきか、商号登記と商業登記のどちらが関係するのかなど、意外と分かりにくいポイントが多いものです。

結論からいえば、個人事業主は登記なしで問題ありません。
ただし、登記にはメリットがあるケースもあり、事業内容や今後の方向性によっては検討する価値があります。

本記事では、個人事業主にとっての登記の必要性を整理しつつ、商号登記・商業登記の違いや、実際の手続き方法までわかりやすく解説します。

この記事で得られること
・個人事業主が「登記なし」で問題ない理由が分かる
・商号登記・商業登記の違いと注意点が理解できる
・登記が必要なケース・不要なケース、手続きの流れまで把握できる


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結論、個人事業主は「登記なし」で問題ない。

個人事業主は、登記を行う義務がありません。
開業の際に必要なのは税務署へ提出する「開業届」であり、法務局で行う商号登記や商業登記とは手続きがまったく異なります。開業届を提出するだけで事業を始められるため、多くのフリーランスは登記なしで活動しています。



登記が不要とされる理由は以下の通りです。

・個人事業主は法人ではなく、法務局での登録義務がない
・屋号(商号)を使っても、登記しなくても問題なく事業ができる
・税務処理や確定申告も登記の有無とは関係がない
・取引先との契約や請求書発行も、登記なしで可能



一方で、「信用力の向上」などを目的に登記を選ぶ人もいます。
しかし、これも任意であり、登記をしないからといって事業ができなくなるわけではありません。

つまり、基本は“登記なしで何の問題もない”が、必要に応じて検討する選択肢もあるというのが正確な結論です。

そもそも「登記」とは?わかりやすく解説

「登記」とは、法務局で事業に関する情報を登録する仕組みのことです。
登録された情報は一般公開され、誰でも閲覧できるという特徴があります。

個人事業主が関係する登記の内容には、主に以下のようなものがあります。

・氏名・住所
・事業内容
・屋号(商号)
・事業所の所在地

ただし、ここで大きなポイントは、個人事業主にとって登記は義務ではないという点です。
屋号を使っていても、登記をしなくても問題なく事業を行うことができます。



一方で、登記をしておくことで、取引先に対して「実在性」が確認しやすくなるなどの利点があります。事業規模や取り引き先の種類によっては、任意で登記を行う人がいるというのが実態です。

個人事業主が関係する「商号登記」と「商業登記」の違い

登記といっても、実は複数の種類があり、個人事業主が目にする代表的なものが 「商号登記」「商業登記」 です。この2つは名称が似ていて混同されやすいのですが、対象者や目的がまったく異なります。

項目

商号登記(個人事業主向け)

商業登記(法人向け)

対象

個人事業主(任意)

法人(会社設立時に必須)

登録内容

屋号・住所・事業内容 など

会社名・役員・資本金 など

登録義務

なし

あり

主な目的

屋号の公示・信頼性向上

会社情報の公的記録

屋号の独占権

なし(商号登記では守れない)

なし(独占は商標登録のみ)

費用

約3万円

会社設立費用に含まれる

手続き場所

法務局

法務局

個人事業主に必要か?

任意(やらなくても事業可能)

対象外



商号登記:個人事業主の「屋号」を登録する手続き

商号登記とは、屋号(商号)を法務局に登録する手続きのことです。
個人事業主の場合、「屋号=商号」と考えて問題ありません。

商号登記をすると、以下の情報が公的に公開されます。

・屋号
・事業所の所在地
・事業内容
・氏名

ただし注意点として、商号登記をしても名称を独占できるわけではありません。
同じ名称でも、別の住所であれば他者が使うことは可能です。

屋号を独占したい場合は、別途「商標登録」が必要です。

商業登記:法人のみが対象(個人事業主は対象外)

商業登記とは、会社の基本情報を法務局に登録する制度です。
こちらは 法人のための登記 であり、個人事業主は対象ではありません。

登録内容の例:

・会社名
・本店所在地
・役員情報
・資本金
・事業目的

法人化を検討している人であれば知っておきたい制度ですが、
個人事業主として活動している段階では関係のない手続きです。

よくある誤解:屋号を「守る」なら商号登記ではなく商標登録

商号登記をすると屋号が守られると思われがちですが、実際には 独占的な権利は発生しません
もし自分の屋号を他者に使われたくない場合、必要なのは 特許庁での商標登録 です。

商標登録をしておけば、日本全国で 類似名称の使用を制限できます。

個人事業主が登記するメリット・デメリット

個人事業主は登記をしなくても問題なく事業を始められますが、任意で登記を行うことで得られるメリットもあります。一方で、費用や手間といったデメリットも存在します。ここでは、判断材料となるポイントを整理します。

メリット:信頼性が上がり、取引がスムーズになる可能性がある

登記を行う最大のメリットは、第三者から見ても「実在性」が確認しやすいことです。
事業の情報が法務局で公開されるため、初めて取引する企業からの信頼につながるケースがあります。



具体的には以下のような場面で有利になることがあります。

・法人クライアントとの取引で安心感を示したい
・実績が少なく、事業内容を説明する材料が少ない
・登記していることを名刺やプロフィールに記載したい

特に、BtoB案件を中心に活動するフリーランスの場合は、相手の心理的ハードルを下げる目的で活用されることがあります。

デメリット:費用と手間がかかる

登記は任意とはいえ、費用・手間・時間がかかることが大きなデメリットです。

・登録免許税として 約3万円 が必要
・書類の作成、印鑑の準備、法務局への提出などの事務作業
・記載ミスがあると「更正登記」が必要になり、再手続きが発生
・内容を変更するたびに追加費用が発生する可能性



とくに「忙しい」「事務作業が得意ではない」という人は負担に感じることが多いです。

登記をしたほうがいい人・不要な人

判断の軸を整理すると、以下のように分かれます。

◼︎登記したほうがいい人

・法人との取引が中心
・実績が少なく、信頼性を補強したい
・屋号を表に出してブランド運用したい
・事業を大きく育てる前提で公的情報を整えたい

◼︎登記が不要な人

・個人名で活動して問題ない
・費用や手続きに対するメリットを感じない
・小規模でフリーランス的に活動する予定
・今後法人化を検討している(法人化の際に改めて登記するため)

結論として、多くの個人事業主は「登記なし」で活動しているのが実態です。

登記をする場合の方法と手順

個人事業主が任意で商号登記を行う場合、手続きは法務局で行います。ここでは、初めての人でもスムーズに進められるよう、必要な準備から提出までの流れを順番に整理します。

■ステップ1:必要なものを準備する

商号登記には、事前にいくつかの書類や印鑑が必要です。
以下のリストをそろえておくと、手続きがスムーズになります。

・個人名義の実印
・印鑑証明書(市区町村の役所で取得)
・印鑑届出書(法務局で入手)
・商号登記申請書(法務局で入手)
・屋号の印鑑(任意)
・登録免許税(3万円分の収入印紙)

印鑑証明書と申請書類は取得場所が異なるため、あらかじめ確認しておくと無駄な往復を避けられます。

■ステップ2:登録免許税(3万円)を支払う

登記には 3万円の登録免許税 が必要です。
収入印紙で支払うため、法務局内または金融機関で購入します。

地域によって収入印紙の販売場所が異なるため、事前に取り扱い状況を確認しておくと安心です。

■ステップ3:商号登記申請書に記入する

申請書には以下の項目を記入します。

・屋号(商号)
・事業所の住所
・氏名
・事業内容

記入が終わったら、登録免許税として購入した収入印紙を申請書へ貼り付けます。
提出後に剥がれると手続きが無効になるため、しっかり貼り付けることが重要です。

■ステップ4:法務局へ書類を提出する

すべて準備が整ったら、法務局の窓口へ提出します。
書類に誤りや記入漏れがあると訂正が必要になり、手続きが遅れるため、提出前にもう一度チェックしましょう。

もし誤った内容で登録されてしまった場合は、「更正登記申請書」を提出して修正手続きを行います。

屋号を守りたいなら「商標登録」を検討

商号登記をすると屋号が公的に登録されるため「名前を保護できる」と思われがちですが、実際には 商号登記だけでは屋号を独占できません
似た名称であっても、住所が異なれば別の事業者が同じ商号を使用できます。

もし「自分の屋号を他者に使われたくない」「ブランドとして育てたい」という場合には、商標登録 を検討する必要があります。

■商標登録で得られる権利

商標登録を行うと、特許庁により以下のような権利が付与されます。

・日本全国で同じ(または類似の)名称を使用させない
・ブランドの独占的利用ができる
・模倣品・類似サービスへの対抗手段になる

特に、ネットビジネスやデザイン事業など、屋号やブランド名が価値を持つ業種では、商号登記より商標登録のほうが重要になることもあります。

■商号登記と商標登録の違い(整理)

項目

商号登記

商標登録

登録場所

法務局

特許庁

対象

個人事業主・法人

個人事業主・法人

目的

事業情報の公示

権利の保護

名前の独占

できない

できる(独占権)

影響範囲

住所ごとに別扱い

全国的に適用

費用

約3万円

内容により変動(一般に数万円〜)

屋号を保護する目的なら、商号登記より商標登録のほうが効果が高いという点が重要です。

まとめ

個人事業主の登記は必須ではなく、手続きそのものも任意です。
だからこそ「どの段階で、どんな目的のために行うのか」を自分なりに整理しておくことが大切です。登記をしなくても事業は始められますし、日々の運営にも支障はありません。一方で、事業の方向性や取引先との関係性によっては、登記を選ぶことで安心感や信頼性につながる場面もあります。



大切なのは、形式的な手続きをこなすことよりも、自分のビジネスをどのように育てていきたいかを基準に判断することです。屋号の見せ方、ブランドとしての位置づけ、誰とどのように取引していくのか──こうした視点によって「今は不要」「あとで必要になりそう」「最初から整えておきたい」と判断が分かれていきます。



迷う場面があれば、法務局の窓口で直接相談したり、必要に応じて専門家の意見を聞いたりして、最も納得できる形で進めていくと安心です。事業のスタイルや成長のスピードに合わせて、自分にとってちょうど良いタイミングで判断していきましょう。

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執筆者

キム ジンヨン

キム ジンヨン

韓国出身韓国生まれ。日本の大学を卒業し、ITエージェントに入社。 営業としてITエンジニアの転職支援を3年ほど経験し、ITフリーランスエージェントであるTEHCBIZにフリーランスとして参画。今はマーケティング部に所属し、TECHBIZメディアの管理及びライティングを担当。

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