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個人事業主の税金対策ガイド|経費と控除で手取りを最大化する基本

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サラリーマンから独立して個人事業主になると、急に「税金」が自分ごとになります。
国民年金や健康保険、所得税・住民税、個人事業税、消費税……。
さらに「経費」や「控除」といった言葉も出てきて、何から手を付ければいいのか分からず不安に感じている方も多いはずです。

この記事では、「個人事業主 税金対策」で検索した人が、最低限おさえておきたいポイントをコンパクトに整理します

この記事で得られることは、つぎの3つです。
・個人事業主になると、どんな税金が発生するのか全体像が分かる
・経費と控除を使って、どのように税金対策ができるのかイメージできる
・今日からできる、経費・控除・書類管理の実務的なポイントが分かる

まずは、「そもそも個人事業主になると何が変わるのか」という全体像から見ていきましょう。

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個人事業主になると増える税金負担とは?税金対策前に全体像を確認

サラリーマンからフリーランス・個人事業主へと働き方を変えると、税金との付き合い方も大きく変わります。

会社員の場合、多くのケースでは
・年末調整を会社がしてくれる
・社会保険料も会社が半分負担してくれる
といった形で、「税金や保険は会社に任せておけばよい」状態になっています。



一方、個人事業主になると、次のような変化が起こります。

・税金や社会保険料の計算や申告を、自分で管理しなければならない
・会社員時代と同じような収入でも、「自分で全額負担する」項目が増え、体感として税負担が重くなる
・経費や控除の使い方次第で、最終的な手取りが大きく変わる



税金対策を考えるうえでは、まず「何に対して税金がかかるのか」を理解しておくことが重要です。そのときに鍵になるのが、「収入」と「所得」の違いです。

収入と所得の違いを整理しておこう

一見すると似た言葉ですが、「収入」と「所得」は税金の世界では全く違う意味を持ちます。

◼︎収入:仕事で得た売上の総額。経費を引く前の金額。

 例:2023年中に売上が200万円あった場合、収入は200万円。
 未入金分も含めて、その年の売上として計上します。

◼︎所得:「収入-経費」で計算される金額。

 例:収入200万円、経費100万円なら、所得は100万円。



個人事業主の税金で重要なのは「収入」ではなく「所得」です。
所得税や住民税など、多くの税金は「所得」をベースに計算されるためです。

例えば、次の2人を比べてみましょう。

Aさんが収入500万円、経費300万円。Bさんが収入400万円、経費100万円の場合
(その他の金額は共に同じ)
・Aさん:500万円-300万円=(所得)200万円
・Bさん:400万円-100万円=(所得)300万円


収入だけを見るとAさんの方が多く稼いでいるように見えますが、所得はBさんの方が多く、その分税金も重くなります。
逆に言えば、同じ収入でも、きちんと経費を計上して所得を小さくできれば、税金対策につながるということです。

この「収入」と「所得」の違いを理解しておくと、

・なぜ経費や控除が税金対策になるのか
・なぜ「経費のつけ方」「控除の活用」が個人事業主にとって重要なのか

といったポイントが、ぐっと分かりやすくなります。

この前提を押さえたうえで、次のセクションでは「個人事業主にどんな税金がかかるのか」を具体的に整理していきます。

個人事業主にかかる主な税金の種類(2025年版の注意点を含む)

個人事業主として活動すると、会社員とは異なる形で複数の税金・保険料を支払う必要があります。
ここでは、2025年時点で押さえておきたい6つの税金を整理します。制度の内容自体は大きく変わりませんが、控除額・保険料・税率の細かな数値は毎年更新されるため、最終的には最新情報の確認が必要です。

国民年金保険料

老後に受け取る年金のために支払う保険料です。
会社員の場合は、“厚生年金”に加入し、保険料の半分を会社が負担してくれます。

しかし、個人事業主は 保険料を全額自己負担 します。
収入に関係なく金額は一定なので、会社員時代と同程度の所得でも「負担増」に感じる代表的な項目です。

国民健康保険料

病院や薬局での治療費が3割負担になるための保険料です。
こちらも会社員と違い、 個人事業主は保険料をすべて自分で負担 します。

保険料は収入(正確には前年の所得)を基準に計算され、自治体ごとに税率が異なります。
滞納すると保険証が発行されず、医療費が全額自己負担になるため注意が必要です。

所得税

「所得(収入-経費)」に対して課される税金です。
所得税は 累進課税 で、課税対象額が大きくなるほど税率が高くなります。

2025年時点でも累進課税の仕組みは同じですが、基礎控除や各種控除額は年度によって変わるため、確定申告時は最新の国税庁情報を参照する必要があります。

出典:国税庁

例:課税所得200万円の場合
200万円 × 10% − 9万7,500円 = 10万2,500円

なお、2037年12月31日までは所得税に加えて復興特別所得税(所得税額 × 2.1%) も併せて発生します。

住民税

住民税は、自治体(都道府県+市区町村)に支払う税金で、「所得割額」+「均等割額」 の合計で決まります。

所得税と同じく、「所得−所得控除」の額が大きくなるほど納税額も増えます。

こちらも 自治体ごとに税率が異なり、年度ごとに改定 される点がポイントです。

個人事業税

年間の所得が290万円を超え、かつ対象業種に該当する個人事業主に課される税金です。
税率は業種によって 3〜5% の範囲で決まっています。

例を見てみましょう。

売上400万円、経費100万円、個人事業税率3%の場合
(400万円-100万円-290万円)×3%=3万円

なお、個人事業税は 経費として計上できる(租税公課扱い)点も特徴です。

参考:東京都主税局



消費税

年間の “税抜売上高” が 1,000万円を超える と、翌々年に消費税の納税義務が発生します。

対象者は、
・本体の消費税額の納付
・消費税の確定申告
を行う必要があります。

申告期限は毎年1月上旬〜3月31日まで が基本です。

個人事業主の税金対策①|「経費」で課税所得を減らす

個人事業主の税金対策の中で、もっとも効果が分かりやすく、今日から実践できるのが 経費の活用 です。経費を正しく計上することで、課税対象となる「所得」を下げられ、結果として所得税・住民税などの負担を減らすことができます。

まずは、経費の基本理解から整理していきます。

経費とは?税金対策との関係をシンプルに整理

経費とは 事業のために使った費用 のことです。
税金の計算では、

所得 = 収入 − 経費

という式を使うため、経費が増えると所得が減り、結果として税金も軽くなります。


例えば同じ500万円の収入でも、

  • 経費50万円 → 所得450万円
  • 経費300万円 → 所得200万円

となり、後者の方が大幅に税金が低くなります。



ただし、私的な支出(飲み会・服・生活費など)は経費にならない ため、事業との関連性を客観的に説明できるかが判断ポイントです。

主な経費の種類と具体例

経費と認められやすい代表的な項目を整理します。
※内容は制度の枠組みであり、金額や扱いは年度・状況により変化があります。

経費区分

具体例

注意点(押さえるべきポイント)

旅費交通費

電車・バス代、タクシー代、出張の宿泊費・航空券

私用との混同はNG。旅行を兼ねる場合は按分や証跡が必要

通信費

スマホ代、インターネット代、切手・封筒代

仕事+私用の兼用は「按分」が必要

支払家賃(事務所/自宅兼事務所)

事務所家賃、コワーキング代、自宅の仕事スペース分

自宅の場合は面積・使用時間を基準に按分。過度な計上は注意

水道光熱費

電気・ガス・水道代

自宅兼事務所は全額計上NG。仕事に使用した分を合理的に算出

会議費

打ち合わせの飲食代、会議室レンタル代

内容によっては「接待交際費」扱いになる場合あり(用途明記)

広告宣伝費

名刺、チラシ、Web広告、HP制作費

仕事獲得のための費用は幅広く計上可能

備品・消耗品費

文房具、ケーブル類、少額のPC周辺機器

10万円未満のものは一括経費にしやすい

減価償却費

パソコン、カメラ、家具など10万円以上の備品

年数に応じて分割計上。耐用年数・償却率の確認が必要

接待交際費

取引先との会食、手土産代

私的会食との区別が重要。領収書+用途メモが必須

雑費

業務に関連する少額の支出

多用すると疑われやすいので用途記録が必須

税金対策のカギは経費です。経費とは、事業に関する費用のことです。経費が増えれば税金は安くなります。なぜなら、所得が減るからです。前述の通り、所得の計算方法は「収入-経費」です。収入が500万円、経費が50万円だとすれば、所得は450万円となります。しかし、収入が500万円、経費が400万円であれば、所得は100万円です。

経費を増やすと、所得が小さくなって税金の支払額が減るため、税金対策につながります。ただし、事業に関係しない費用の経費計上は、認められていません。プライベートの食事代や雑貨などが典型的な例です。その他に、仕事と旅行を兼ねて発生した交通費や宿泊代なども全額経費として計上できないため、ご注意ください。

「意外と経費にできる」グレーゾーン(表でサブ補足)

項目

経費になるケース

特に注意すべき点

取引先の冠婚葬祭費

祝儀・香典を事業関係として支出した場合

衣装代・美容代はNG。出金伝票と招待状を保持

自販機の飲料代

商談相手への差し入れなど

頻度・金額が多すぎると指摘対象

カフェのドリンク代

作業スペースとして利用した場合

食事(フード)は基本NG。作業目的が明確なら可

 (関係先の)冠婚葬祭の費用

取引先の冠婚葬祭費用は、経費として認められやすいです。ご祝儀や香典などが該当します。領収書はなくても、内容を記録した出金伝票とともに、行ったことを示す招待状などを保管すれば計上可能です。
ただし、冠婚葬祭用の衣装代や散髪代などは、プライベートの費用として扱われる可能性が高いため、経費計上は難しいでしょう。

 自動販売機でのジュース代

取引先の担当者へ買った自動販売機でのジュース代も、経費として計上できます。領収書はありませんが、出金伝票に購入した商品や何のために買ったか記録しておけば、認められます。ただし、ジュース代が頻繁に発生し過ぎる場合や金額が大きい場合は、税務署から指摘されることもあるため、適切な範囲内での経費計上を心がけましょう。

 作業で利用した飲食店のドリンク代

1人で仕事をするために入った飲食店でのドリンク代も計上可能です。「クライアント先へ行くまで時間があるから、近くのカフェで仕事をした」、「近くにwifi環境がないから、カフェへ入って仕事をした」といった正当な理由があれば認められます。

ただし、フード代を経費として計上するのは難しい場合が多いです(複数人での打ち合わせであれば、経費として認められる可能性があります)。仕事に関連する飲食費であっても、個人的な食事と明確に区別がつかない場合は、税務署から指摘されることがあるため注意が必要です。

個人事業主の税金対策②|「控除」で課税所得をさらに減らす

経費と並んで個人事業主の税金対策で効果を発揮するのが 控除の活用 です。
控除とは、個人の事情に応じて「課税所得」を減らすことができる制度のこと。
つまり、控除が増えるほど 所得税・住民税の負担が軽くなる 仕組みです。

まずは、経費との違いを整理します。

経費と控除の違いを理解しておこう

項目

経費

控除

基準

事業のために使った支出

個人の事情に応じて認められる制度

目的

所得を減らす(事業ベース)

課税所得を減らす(個人ベース)

具体例

家賃・通信費・旅費交通費

社会保険料控除・生命保険料控除・小規模企業共済等

経費は「事業上の支出」、控除は「個人に認められる調整」と覚えると分かりやすいです。



代表的な控除の種類(個人事業主が使える3大制度)

控除には多くの種類がありますが、まず押さえるべきは次の3つです。

社会保険料控除

1年間で支払った

  • 国民健康保険料
  • 国民年金保険料
  • 介護保険料

などが 全額控除 されます。

例:国民健康保険10万円+年金15万円 → 控除額25万円



支払った保険料はそのまま控除できるため、対象者にとってはもっとも利用頻度が高い控除です。

生命保険料控除

民間保険に加入している場合、支払った保険料の一部が控除されます。

控除枠は以下3種類で、それぞれ 最大4万円(合計最大12万円) が控除されます。

  • 新生命保険料
  • 介護医療保険料
  • 新個人年金保険料

※契約時期(新契約/旧契約)によって計算ルールが異なるため、控除証明書で確認が必要です。

ちなみに控除額を計算する時の式は以下になります。

出典:国税庁

令和5年1月1日以降に契約を結んだ保険には「新契約」、令和5年12月31日以前に契約を結んだ保険には「旧契約」という区分があり、生命保険料控除の計算に影響します。ただし、保険のプランによっては、支払った保険料の一部しか「支払保険料」として計上できない場合がありますので、注意が必要です。

小規模企業共済等掛金控除

個人事業主の“退職金制度”にあたる小規模企業共済に加入している場合、
支払った掛金が全額控除 されます。

例:年間30万円の掛金 → 控除額30万円

控除額が大きいだけでなく、廃業時の共済金として受け取れるため、税金対策と資産形成を同時に行えるメリットがあります。

控除を漏らさないための実務ポイント

控除は知っているかどうかで節税額が大きく変わります。
確定申告時に漏れが起きやすいので、次の点を押さえておきましょう。

◼︎控除証明書の管理

各控除には「控除証明書」が送付されます。

  • 年金 → 年金事務所
  • 健康保険 → 各自治体
  • 生命保険 → 生命保険会社
  • 小規模企業共済 → 管理団体

紛失しても再発行可能ですが、申告期限直前は混み合うため早めに確認するのがおすすめです。

◼︎電子データ化の活用

保険会社・国税庁・共済制度の多くが電子証明書(PDF)対応しているため、郵便での紛失リスクを減らせます。


経費・控除の管理をラクにする3つの方法

経費や控除は「知っているかどうか」で節税額に差が出るだけでなく、管理方法の工夫次第で、確定申告の作業量を大幅に軽減できます。

ここでは、今日から取り入れられる実務的な管理方法を3つ紹介します。

1. 電子保存(電子帳簿保存法)を活用する

領収書・レシートを紙で保管すると管理が煩雑になり、紛失リスクも高くなります。
クラウドやアプリを使って電子保存すれば、以下のメリットがあります。

  • 領収書の紛失リスクが激減
  • 保管スペースが不要
  • スマホからすぐ検索できる
  • 確定申告時に必要な証憑を一瞬で探せる

※制度の詳細は年度ごとに更新されるため、利用前に最新要件の確認が必要です。

2. 交通系ICカードを使って支出をまとめる

公共交通機関を多く利用する人は、交通系ICカードを使うことで1枚の明細に履歴がまとまり、領収書管理の手間が大幅に減ります。

  • 移動区間が自動で記録される
  • 履歴を印刷すれば証憑として利用できる
  • 紙の切符や細かい領収書を集める必要がなくなる

ただし、履歴の保存件数には上限があるため、定期的な出力が必要です。

3. クレジットカードを「事業用」と「私用」で分ける

クレジットカードを分けると、家計と事業の支出が混ざらず、経費計上の判断が圧倒的に簡単になります。

  • 月1回の明細を見れば、経費が一目で把握できる
  • 年間の集計が容易
  • ネット明細で過去履歴も確認しやすい

確定申告時に「領収書の束と戦う」必要がなくなり、
“帳簿づけの99%は、正しい支払い方法の選択で決まる” と言ってもいいほど効果があります。

管理の質がそのまま節税につながる

経費・控除の管理は、以下の組み合わせが最も強力です。

・領収書は電子保存で一元管理
・交通系ICカードで移動履歴をまとめる
・クレジットカードは事業用を1枚作る

特別な知識がなくても、支払い方法と証憑管理を整えるだけで、
無駄な税金の支払いを防ぎ、確定申告のストレスも大幅に減らせます。

まとめ|個人事業主の税金対策は「理解 × 管理」がすべて

個人事業主の税金対策は、特別なテクニックよりも 基本の理解と、日々の管理の質 が重要です。
今回の記事を振り返ると、次の3つが核心になります。

個人事業主に発生する主な税金

・国民年金保険料
・国民健康保険料
・所得税
・住民税
・個人事業税(対象者のみ)
・消費税(売上に応じて発生)

これらの仕組みを理解することで、「なぜ税金が高く感じるのか」が明確になります。

税金対策の必須ポイント

経費:事業に関する支出を正しく計上して所得を下げる
控除:個人の事情に応じて課税所得を減らす制度を活用する
管理:領収書や支払い方法を工夫して、確定申告をラクにする

経費・控除を組み合わせることで、支払う税金は数万円〜数十万円単位で変わることがあります。

今日からできる実務アクション

・領収書は電子化して保管
・交通系ICカードの履歴で移動費をまとめる
・クレジットカードを「事業用」で1枚作る
・使える控除(社会保険料、生命保険、小規模企業共済)を確認する

これだけでも、確定申告の効率が大きく変わり、節税効果も高まります。

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執筆者

キム ジンヨン

キム ジンヨン

韓国出身韓国生まれ。日本の大学を卒業し、ITエージェントに入社。 営業としてITエンジニアの転職支援を3年ほど経験し、ITフリーランスエージェントであるTEHCBIZにフリーランスとして参画。今はマーケティング部に所属し、TECHBIZメディアの管理及びライティングを担当。

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